さよなら

 私はリビングでくつろいでいた。ペルシャ絨毯にうつ伏せで寝ころび、手にはパンフレットを持ち、両肘で上体を起こして支えながらその紙を眺めていた。傾き始めた午後の陽射しが、レースカーテンを通過して部屋をやさしい光で満たした。時の流れが遅い。約2年間に及ぶ中学受験戦争に終止符を打った今、彼は穏やかな解放感に浸っていた。

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